(サン・ピエトロ大聖堂の「鐘楼」)
ビル・フォンタナ 記念碑的な音響彫刻の静かな響き
鐘はキリスト教の創成期から人々の生活と密接に結びついてきました。鐘の音は時の流れを告げるだけでなく、信者を祈りや集会に呼び掛け、喜びや悲しみの瞬間を通して人類に寄り添います。
世界中の鐘の中でも、サン・ピエトロ大聖堂の鐘楼はキリスト教の中心で独特の位置を占めています。
しかし、サン・ピエトロ大聖堂の大鐘が常に耳を傾けていることを知る人はほとんどいません。鐘楼は苦しむ人々の声、戦禍に喘ぐ国々の叫び、そして世界中の巡礼者が捧げる希望と連帯の祈りを静かに受け止めてきました。
鐘楼の鐘が鳴っていないときでも、鐘楼は確かに存在し、人々の声に応え続けています。それは決して終わることのない対話の象徴としてそこに佇んでいるのです。
ビル・フォンタナは、この深い沈黙に声を与えようとしてきました。テクノロジーを通じて、彼は大鐘の隠れた響きを発掘し、それを表現しました。鐘楼に鐘の音が響かなくても、聖ペテロの鐘は普遍的なメッセージを静かに放ち、平和と希望を人々に語りかけます。
プロジェクト考案者:ウンベルト・ヴァッターニ
キュレーター:ウンベルト・ヴァッターニ
ヴァレンティーノ・カトリカーラ
協力:ヴェニス国際大学